ヘルシーレター 2020年4月
ヘルシー歳時記・4月
●生き生きと健康で暮らすために (4) ~介護保険制度を上手に活用しましょう。~
「介護の社会化」を目指して誕生した介護保険が、4月で導入20年になります。介護が必要な高齢者の増加に対して、家族から社会全体で支えあう「介護の社会化」が実現できたでしょうか。
長い間、老親の面倒を見るのは家族、なかでも女性に負担が集中していました。「介護離職」「老々介護」と叫ばれ介護を必要とする人が増える一方、介護職員、ヘルパーの人材が大幅に不足しています。日本は世界一高齢者率の高い国です。今後は介護保険制度での費用負担が増え、サービスが縮小されるのは明らかです。
今年は制度見直しの年。後期高齢者医療制度と共に医療と介護の家族負担が増えることになりそうです。特に認知症への対応が不十分です。介護保険制度があっても実際に老親や家族に介護が必要にならないと、利用方法がわからず戸惑うことが多いと思います。介護保険のサービスは、利用者が住み慣れた自宅などで自立した生活が続けられるようにサポートすることを目的としています。
介護サービスの利用は、市区町村への要介護認定の申請から始まります。まずは介護保険の窓口や地域包括支援センターに相談してください。「役所はどうも敷居が高くて」という方は、地域の民生委員さんに相談するのもよいでしょう。要介護(要支援)の認定結果をもとに、自立した生活ができるように介護支援専門員(ケアマネージャー)が、かかりつけ医、介護サービス事業者、家族と一緒に利用者の希望に沿ったケアプランを作成します。
在宅サービスには、訪問介護、訪問入浴、訪問リハビリ、訪問看護、居宅療養管理指導、通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション、ショートステイ等があります。介護度によって利用できる限度額と所得による自己負担額が決まっていますので、利用回数、利用料金等を調整してケアプランを立てていきます。その他、安心して在宅で暮らせるように、福祉用具貸与や特定福祉用具販売、住宅改修費支給等があります。
施設入所には、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設などがありますが、まずはケアマネージャーに相談してください。すぐに入所できる施設のある自治体は少なく、必要度に応じた入所契約ですので待機者が多くいます。特別養護老人ホームは要介護3以上でなければ入所できません。
その他、市区町村によって身近な地域で受けられる介護サービスがあります。要支援1.2の人の生活支援や通所介護等は、各自治体で地域支援事業の総合事業として行われています。介護保険のサービスの利用は、行政の措置ではなく利用者と事業者との自由契約です。ケアマネージャーの人柄や知識、情報量によって、受けられる各サービス事業者の質や適性が異なることもあります。食事やプログラムも大切です。介護保険法に「尊厳保持」「自立支援」とあります。制度を上手に利用して、安心して自立して暮らせるための介護保険制度でありたいものです。次月は、高齢者の健康づくり、生きがい活動について考えます。
写真は山梨の樹齢2000年の実相寺の神代桜とワニ塚の一本桜です。新型コロナウイルス感染が蔓延し、世界中が疲弊しています。春はウイルスにも負けず必ずやってきます。人の英知を信じて生き抜いていきましょう。
長い間、老親の面倒を見るのは家族、なかでも女性に負担が集中していました。「介護離職」「老々介護」と叫ばれ介護を必要とする人が増える一方、介護職員、ヘルパーの人材が大幅に不足しています。日本は世界一高齢者率の高い国です。今後は介護保険制度での費用負担が増え、サービスが縮小されるのは明らかです。
今年は制度見直しの年。後期高齢者医療制度と共に医療と介護の家族負担が増えることになりそうです。特に認知症への対応が不十分です。介護保険制度があっても実際に老親や家族に介護が必要にならないと、利用方法がわからず戸惑うことが多いと思います。介護保険のサービスは、利用者が住み慣れた自宅などで自立した生活が続けられるようにサポートすることを目的としています。
介護サービスの利用は、市区町村への要介護認定の申請から始まります。まずは介護保険の窓口や地域包括支援センターに相談してください。「役所はどうも敷居が高くて」という方は、地域の民生委員さんに相談するのもよいでしょう。要介護(要支援)の認定結果をもとに、自立した生活ができるように介護支援専門員(ケアマネージャー)が、かかりつけ医、介護サービス事業者、家族と一緒に利用者の希望に沿ったケアプランを作成します。
在宅サービスには、訪問介護、訪問入浴、訪問リハビリ、訪問看護、居宅療養管理指導、通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション、ショートステイ等があります。介護度によって利用できる限度額と所得による自己負担額が決まっていますので、利用回数、利用料金等を調整してケアプランを立てていきます。その他、安心して在宅で暮らせるように、福祉用具貸与や特定福祉用具販売、住宅改修費支給等があります。
施設入所には、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設などがありますが、まずはケアマネージャーに相談してください。すぐに入所できる施設のある自治体は少なく、必要度に応じた入所契約ですので待機者が多くいます。特別養護老人ホームは要介護3以上でなければ入所できません。
その他、市区町村によって身近な地域で受けられる介護サービスがあります。要支援1.2の人の生活支援や通所介護等は、各自治体で地域支援事業の総合事業として行われています。介護保険のサービスの利用は、行政の措置ではなく利用者と事業者との自由契約です。ケアマネージャーの人柄や知識、情報量によって、受けられる各サービス事業者の質や適性が異なることもあります。食事やプログラムも大切です。介護保険法に「尊厳保持」「自立支援」とあります。制度を上手に利用して、安心して自立して暮らせるための介護保険制度でありたいものです。次月は、高齢者の健康づくり、生きがい活動について考えます。
写真は山梨の樹齢2000年の実相寺の神代桜とワニ塚の一本桜です。新型コロナウイルス感染が蔓延し、世界中が疲弊しています。春はウイルスにも負けず必ずやってきます。人の英知を信じて生き抜いていきましょう。
●こんにゃくはメタボリック症候群の救世主!
こんにゃくは、サトイモ科のこんにゃく芋を原料として作られたもので、その形状もさまざま。板こんにゃく、糸こんにゃく、玉こんにゃくなどの種類があります。
こんにゃく芋の精粉(せいこ)を使うと白いこんにゃくになり、生芋を使った場合は芋の皮が入ってしまうため、黒っぽくなります。最近の黒こんにゃくは、精粉を使ったものが多いのですが、昔からの作り方を見慣れている地方では白いこんにゃくがあまり好まれなかったため、生芋から作るこんにゃくに似せるように、アラメやヒジキなどの海藻の粉末で色をつける場合が多いようです。なお、白いこんにゃくの中にみられる黒い斑点は、原料のこんにゃく芋由来の天然物ですので、品質には問題ありません。
こんにゃくの成分の約97%は水分。栄養成分は、グルコマンナン(コンニャクマンナン)という食物繊維です。グルコマンナンは、胃腸での消化・吸収を低下させる作用があるので、糖尿病や高脂血症などの予防効果が期待されます。この食物繊維の働きを昔の人は、「腸の砂おろし」や「体の砂払い」などと言い表していたようです。
こんにゃくは肥満防止に最適。よく噛んで食べると、脳の視床下部にある「満腹中枢」が刺激され、腹八分目の食事で満足感が得られ、食べ過ぎを防ぎます。また、卵並みのカルシウムが含まれており、胃の中で溶出され吸収されやすいと言われています。
こんにゃくは、日本人に不足している食物繊維とカルシウムの補給に最適。日本人の食生活は生活水準の向上と洋風化から、飽食、栄養過多が心配されるほどになっていますが、食物繊維とカルシウムは不足しています。厚生労働省「日本人の食事摂取基準」では、食物繊維の摂取不足が循環器疾患や糖尿病、がんなどの生活習慣病の発症に関連することから目標量を設定しています。また、カルシウムについても成長期の骨形成や骨粗しょう症予防などから欠乏しないよう目標量を定めています。こんにゃくはカロリーの摂取量が増えることを心配せずにサツマイモ並みの食物繊維と卵並みのカルシウムの摂取ができる食品です。
こんにゃく芋の精粉(せいこ)を使うと白いこんにゃくになり、生芋を使った場合は芋の皮が入ってしまうため、黒っぽくなります。最近の黒こんにゃくは、精粉を使ったものが多いのですが、昔からの作り方を見慣れている地方では白いこんにゃくがあまり好まれなかったため、生芋から作るこんにゃくに似せるように、アラメやヒジキなどの海藻の粉末で色をつける場合が多いようです。なお、白いこんにゃくの中にみられる黒い斑点は、原料のこんにゃく芋由来の天然物ですので、品質には問題ありません。
こんにゃくの成分の約97%は水分。栄養成分は、グルコマンナン(コンニャクマンナン)という食物繊維です。グルコマンナンは、胃腸での消化・吸収を低下させる作用があるので、糖尿病や高脂血症などの予防効果が期待されます。この食物繊維の働きを昔の人は、「腸の砂おろし」や「体の砂払い」などと言い表していたようです。
こんにゃくは肥満防止に最適。よく噛んで食べると、脳の視床下部にある「満腹中枢」が刺激され、腹八分目の食事で満足感が得られ、食べ過ぎを防ぎます。また、卵並みのカルシウムが含まれており、胃の中で溶出され吸収されやすいと言われています。
こんにゃくは、日本人に不足している食物繊維とカルシウムの補給に最適。日本人の食生活は生活水準の向上と洋風化から、飽食、栄養過多が心配されるほどになっていますが、食物繊維とカルシウムは不足しています。厚生労働省「日本人の食事摂取基準」では、食物繊維の摂取不足が循環器疾患や糖尿病、がんなどの生活習慣病の発症に関連することから目標量を設定しています。また、カルシウムについても成長期の骨形成や骨粗しょう症予防などから欠乏しないよう目標量を定めています。こんにゃくはカロリーの摂取量が増えることを心配せずにサツマイモ並みの食物繊維と卵並みのカルシウムの摂取ができる食品です。
(メディカルアドバイザー 松村富代)
Healthy Letter from Tomiyo Vol.192 April 2020
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