ヘルシーレター 2017年4月
ヘルシー歳時記・4月
●春を愛でて、桜を辿る。
東京の桜の開花宣言は先月3月23日。ほぼ例年通りで、満開の桜を心待ちにしていました。日本全国一番乗りだったのですが、寒の戻りで都心は気温も一桁。山間部の降雪で、春は一気に遠のいてしまいました。いち早く、開花宣言を行った東京では例年より1週間ほど遅れて桜の見ごろを迎えました。入学式には若葉の葉桜ではなく、桜の花の下で記念写真が撮れそうですね。今年は満開の桜が長く楽しめそうです。
写真は山梨県韮崎市のワニ塚の一本桜。広大な地平線のかなたには南アルプスが雪をかぶり、凛と佇む桜の木と見事なベストロケーションを見せています。実はこの写真、去年のものです。今年は本当に遅れています。例年ならまず、ワニ塚の桜が先行し、この桜が終わるころ、近所の実相寺・樹齢1800年の神代桜がまだまだ健在と花を咲かせます。続く真原街道の桜並木も待っていたように開花します。ところが4月3日今日現在、ワニ塚の桜はまだ蕾の状態。例年行われるライトアップも6日からに変更されました。自然はヒトの都合の良いようにはいきません。
桜と並行して、まだ梅が可憐に咲き、ピンク色の桃も膨らみ始めました。梅・桜・桃と、春が一気にやってきます。春は短い、2017年の春をしっかり、記憶にとどめておかなくちゃ…。
春を愛おしんでいる間に、やるべきことがたくさん。今年は山荘築15年目にして、ついにデッキの床が朽ちてしまいました。もちろん定期的にメンテナンスはしていたのですが、土台からやり直しです。全面的にはがし、新しい板に防腐剤を塗ってデッキを再構築します。ゴールデンウィークには助っ人も来てくれるようで……ゆっくりと時間をかけてゆるゆると、大変だけどそれもまた楽しい山荘暮らしです。5月度のヘルシーレターには新デッキ完成写真がアップされることをお約束して…。
●桜餅 関西風vs関東風
桜の季節といえば、やはり「桜餅」に登場願いましょう。春を感じさせる、とても風流な和菓子です。桜餅には関東風と関西風があります。
写真上が、関東風の「長命寺」(ちょうめいじ)と呼ばれるもの。小麦粉などの生地を焼いた皮で餡を巻いた、クレープ状のお餅です。ネットによれば、享保2年(1717年)、隅田川沿いにある長命寺の門番・山本新六が、桜の落葉掃除に悩まされ、ふと思いついて桜の葉を塩漬けにして、薄い皮に餡を包んだものに巻いて売り出したところ、これが江戸で大ヒットしたそうです。関東ではこちらのタイプの桜餅が主流のようです。
私の実家は九州・福岡。幼いころはもち米つぶつぶの、写真下の関西風の「道明寺」(どうみょうじ)の桜餅をいただいていました。道明寺粉で皮を作り、餡を包んだ、まんじゅう状のお餅で、道明寺粉のつぶつぶした食感が特徴です。道明寺粉とは、もち米を蒸して乾燥させ粗挽きしたもの。こちらもネット検索によれば、大阪の道明寺で保存食として作られたのが起源だそうです。関西では、こちらのタイプの桜餅が主流のようです。
「長命寺」「道明寺」どちらの桜餅も、桜の葉の塩漬けで包まれています。この葉には、やわらかくて毛が少ない「大島桜」が主に使われ、全国で使用される桜餅の葉の約7割が伊豆の松崎町で生産されているそうです。桜の葉を塩漬けにすることでクマリンという芳香成分が生まれ、独特の風味を醸し出します。生の葉にはあの香りはありませんね。クマリンは肝毒性を持っており、長期にわたって過剰に摂取すると肝機能を弱めるといわれています。しかし、それは一日に10個も20個も桜餅を食べたときの場合で、クマリンは、グレープフルーツやみかんなど、果物や野菜にも含まれている香り成分です。ポリフェノールの一種なので抗菌作用があり、血流を良くしたり、むくみを改善してくれるうれしい効果もあるようです。
さて、気になるカロリーですが、桜餅1個(約50g)につき 100kcal 以上あると思っておいたほうがいいでしょう。栄養成分表によると、100gあたりのカロリーは、長命寺(関東風)が238kcal、道明寺(関西風)が200kcalになっています。洋菓子のショートケーキは100gあたり約344kcal。1個だけなら桜餅がおすすめです。
(メディカルアドバイザー 松村富代)
Healthy Letter from Tomiyo Vol.157 April 2017
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